新NISAだけが投資じゃない。若者がiDeCoを使うメリット
20代30代の若者の皆さん、投資の世界へようこそ。
多くの方が抱える「投資を始めるべきタイミングと利用すべき制度」についての疑問に、この記事で答えを出します。
始めるタイミングはズバリ今です。円安も株高も関係ありません。
そして、利用すべき制度はこちらです。
- 新NISA:老後になる前に使うお金(子供の教育資金など)
:退職金が期待できる職業の老後資金(会社員・公務員など) - iDeCo:退職金がない、少ない職業での老後資金(自営業・フリーランスなど)
「えっ?新NISAが最高じゃないの?」と思われたかもしれませんが、iDeCoには新NISAより有利な点があるのですから使わない手はありません。
私は投資のおかげでサラリーマンを早期退職しサイドFIRE生活を達成しました。
その成功理由は才能や知識があったからではありません。
まだインターネット上の証券会社が世間的に怪しい詐欺会社だと思われていた20代から投資を始めたからだと断言できます。
投資で資産を増やせるかは才能や知識ではなく、いかに早く有利な制度で始めるかに掛かっています。
今回の記事では投資を早く始めるべき理由、特に若者が少しでも早く始めるべき理由をまとめました。
そして、結論として一部の方にiDeCoをオススメしています。
ぜひ最後まで読んで、あなたの人生の道標にしてください。
- 新NISAだけが投資じゃない。若者がiDeCoを使うメリット
- 若い時から投資を始めるべき3つの理由
- 若者が始めるなら新NISA?それともiDeCo?
- 投資先はeMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)で
- 投資は新NISAだけじゃない!
若い時から投資を始めるべき3つの理由
さて20代30代の若者は投資において、大きなアドバンテージを持っていることをご存じでしょうか?
- 長い時間を味方につけることができる。
- 失敗しても取り返せる。
- 社会の制度を学ぶことができる。
退職間際の方々に比べて、これだけのアドバンテージが有るのですから、もはや始めないことがもったいないといっても過言ではありません。
それでは詳しく掘り下げていきましょう。
①若い時から投資するほど、長い時間を味方にできる
「複利効果」という言葉を聞いたことありますか?
これは、投資したお金が時間をかけて雪だるま式に増えていく仕組みです。
特に、若い時から投資をスタートさせることで、その効果を長期間に渡り受けることができるんですよ。
初心者にオススメされているインデックス投資は、突然大きな利益が出るわけではありませんが少しずつ着実に増やしていくことができます。
例えば今日から毎月1万円のつみたて投資を始めた場合どうなるでしょうか?
30年で合計360万円を積み立て投資した場合、3倍近い1千万円になっていますね。
ちなみにこの利回り年6%は世界中心である米国の株式市場が過去200年以上にわたって達成してきた平均的な利回りが年6.7%なので、この数値を使いました。
もちろん一時的な大暴落で年利回りが大きなマイナスになることもあります。
しかし、若い時から投資を始めれば、それだけ長い期間で投資をする事ができるのですから、利回りは平均値に近づいていきます。
例えばサイコロを2回振って2回とも1が出るのはよくある事ですが、100万回振れば限りなく確率六分の一に近づきますよね。
長く投資を続ければ続けるほど、平均値に近い利益を出せる可能性が高くなるのです。
②投資で失敗しても、若い時なら取り返す事ができる
残念ながら投資は必ず儲かるわけではありません。
上の紹介した毎月1万円のグラフは、順調に毎年6%で資産が増えた場合で計算していますが、実際の株式市場は違います。
小さな株価の上下を繰り返し、時には歴史に残るような大暴落を乗り越えて、長期的に平均6.7%程度の上昇に集束しているのです。
つまり大暴落に遭遇していしまえば、一時的に資産が投資した元本よりも減ってしまう場合もあるんです。
いえ、必ずあると言っても過言ではありません。
これが退職金を投資をしている人だったらどうなるでしょうか?
もう、老後の人生設計が破綻してしまうほどの大事件ですよね。
しかし、若い時に暴落を経験しても、その心配は少なくて済みます。
なぜなら普通に働けるんですから、生活は変りません。
むしろ安値で株式を買える暴落期間は、若者にとってのボーナスタイムなんです。
普通に働いて、過去の歴史通りに平均点に戻るのを待てばいいのですから。
③新NISA・iDeCoなど、社会の制度を知ることができる。
2024年1月から始まった新NISAは、投資家にとって非常に有利な制度です。
この制度を利用することで、株式投資などの利益にかかる税金が免除されますから、新NISAを利用しない手はありません。
また、iDeCo(個人型確定拠出年金)は、投資の利益だけでなく、毎年の所得税・住民税も軽減されるなど、さらなるメリットをもたらします。
たとえ用語だけ知っていても、投資に興味を持たず普通に生活していては、これらの社会制度に触れることはありません。
実際に投資を始めることで、その利点を知ることができるのです。
そして若い時からこの制度を知ることはとても重要です。
例えばiDeCoなどの確定拠出年金は60歳まで資金を引き出せない代わりに、支払う税金を減らすことができますが、退職間近に制度の存在を知った所で無意味です。
さらに、投資をすることで得られる経験や知識は、単に資産を増やすだけでなく、個人のお金の知識を高めることにも繋がります。
世の中には怪しい不動産投資や不要な保険の勧誘など、様々なお金の罠が張りめぐされています。
それらの罠を回避するため、若い時から投資を経験することは理にかなっているんですよ。
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新NISAもiDeCoも投資を始める前準備が大切
紹介した三つのメリットを最大限に生かすには、少しでも早く投資を始めるべきなのですが、
ただノリと勢いだけで始めれば良いわけではありません。
投資を始める前準備が必要です。
- 何のために投資するかを考える。
- 生活防衛資金を確保し、借金は先に返す。
- 家族の理解と協力を得る。
- 損する覚悟をする。
これら初心者が投資を始める前に必要なことは別記事でまとめていますので、ぜひ参考にして下さい。
【新NISA開始に惑わされるな!】投資を始める前にやるべきこと。
若者が始めるなら新NISA?それともiDeCo?
新NISA | iDeCo | |
---|---|---|
対象商品 | 株式・投資信託 国内ETF 外国株式・外国ETF |
元本保証資産 投資信託 ※1 |
買付け方法 | つみたて・一括 | つみたて |
投資限度額 | 生涯:1,800万円 年間:360万円 |
自営業:月6万8千円 会社員:月2万3千円 ※2 |
税制優遇(買付時) | なし | 所得控除で節税 |
税制優遇(運用中) | 配当金・分配金 ※3 非課税 |
口座内の売却益 非課税 |
税制優遇(出金時) | 売却益が非課税 | 退職控除の対象 |
出金条件 | いつでも | 60歳以降 |
運用管理費 | なし | ※4 若干 |
※1:証券会社ごとに指定された銘柄
※2:退職金制度のある会社は2万円又は1万2千円
※3:外国税は課税対象
※4:口座開設時に2,829円、毎月171円が一般的
次は投資を始めるならどの制度を利用するかですが、記事冒頭で紹介した通り、私のオススメは以下の通りです。
- 新NISA:老後になる前に使うお金(子供の教育資金など)
:退職金が期待できる職業の老後資金(会社員・公務員など) - iDeCo:退職金がない、少ない職業での老後資金(自営業・フリーランスなど)
新NISAは余計なこと考えなくていい
まず最も有名な制度である新NISAから簡単に紹介しましょう。
制度は色々と複雑な所もありますが、とりあえず以下の3点を知っていれば問題ありません。
- 一生涯で1800万円まで買付できる。
- 税金が掛からない。
- いつでも売却し出金できる。
新NISAは利益に対する税金が完全に非課税であり、途中で一部又は全額を出金できます。
そのためノリと勢いで始めたとしても、途中で簡単に止めることができるんです。
これが後述のiDeCoと比べた際の最大のメリットでしょう。
優良インデックスファンドをつみたて設定し、あとは寝ているだけです。
なお、「インデックスファンドって何?」と思った方は別記事で解説していますので、参考にしてください。↓↓↓
新NISAの売り時はお金が必要な時
売却時に株価を気にする必要も有りません。売り時はただ一つ
売却しないと借金をする必要がある時
これだけです。
その時の株価が高かろうが安かろうが関係ありません。
そもそも私たちの様な一般市民に株式相場なんか分かりません!
- 子供の教育資金を支払う時に売る。
- 老後の生活費に必要なら売る。
売らないとお金が足りない時が新NISAの売り時なのです。
新NISAは買付時にメリットがない
さて、ここまで読まれて「もう新NISAだけでいいんじゃない?」と思われましたか?
しかし、比較対象のiDeCoには投資信託を買うときに節税できるというメリットが有るのです。
これが新NISAがiDeCoに劣っている点なのですが、その点の比較も含めて、iDeCoを解説しましょう。
iDeCo:退職金のない職業の老後資金に最適
まず大前提として、iDeCoは老後資金に特化した制度です。主な特徴としては
- 60歳まで引き出すことができない。
- 買付時に節税になる。
- 若干の手数料が掛かる
- 引き出す時に税金が掛かる場合がある。
それでは、一つずつ特徴を解説しましょう。
実はメリット?:60歳まで引き出せない
iDeCoが新NISAより敬遠される理由は60歳まで出金できないことが原因でしょう。
しかし、私はこれをメリットと考えます。
老後資金を貯めるうえで最大の敵は、途中で使ってしまうことです。
しかし、iDeCoはお金を使いたくても引き出せません。
貯金が苦手な方にとっては老後資金を貯める有益な投資手段となってくれるでしょう。
投資時に節税なる
毎年の所得税と住民税は、所得(年収)によって決められます。
iDeCoで投資した掛金は、全額が所得(年収)から引いて税金を計算するので節税になります。
iDeCoの公式サイトによると、年収500万円の25歳が毎月1万円でiDeCoを利用した場合、合計96万円の節税になりますね。
ちょうど『掛金控除の概算金額』を投稿して下さった方がいたので掲載させて頂きます。
iDeCoが話題なので、基本を押さえながら私の視点で「新NISAとiDeCoの差」「長生きリスク」「掛金控除の概算金額」「証券会社のラインナップ」を解説。マジで語るべきことが多すぎる。詳細はリプで解説↓↓ pic.twitter.com/UH4YqjVtWt
— おしろまん@資産形成の図解屋 (@oshiromandayo) February 21, 2024
これらiDeCoには買付時のメリットもありますから、老後資金として新NISAより優れている感じがしますね。
しかし、新NISAと違い出金時にデメリットがあるのです。
iDeCoの出金時に税金がかかる可能性が
先に結論を書いてしまうと、投資時に節税した以上の税金を払う可能性があるのです。
iDeCoからお金を引き出す時は2つの方法があり、どちらも課税の対象です。
- 分割して年金として受け取る。
- 一時金(退職金)として受け取る。
特に金額が大きくなる退職金には一定額の範囲なら非課税という制度がありますが、この一定額には会社から受け取る退職金も含まれます。
つまり退職金をたくさん貰うほどiDeCoの節税メリットが薄れていくわけですね。
これから計算過程を記入しますが、結果だけ分かればいい方は、ボタンをクリックして先に進んで下さい。
退職金が非課税になる一定額(退職控除の額)は、以下の計算式は以下の通りです。
- 勤続年数:20年以下
40万円×勤続年数 - 勤続年数:20年超
800万円+70万円×(勤続年数-20年)
注:iDeCoの勤続年数は加入期間
では、この計算式を元に勤続40年で退職した場合の税金を計算してみましょう。
- 勤続年数:40年
- 退職金:1,500万円
- iDeCo:2,000万円
注:月1万円の積み立て投資を40年間(利回り年6%)で約2,000万円になる。
800万円+70万円×(40-20)=2,200万円
課税対象になる金額を計算
- (退職金とiDeCoの合計)
1,500万円+2,000万円=3,500万円 - (退職控除分を引く)
3,500万円-2,200万円=1,300万円 - (課税退職所得金額)
1,300万円×50%=650万円
※50%は税金の計算式で決められています。気にしないでください。
この650万円にどれだけ所得税が掛かるかは、以下の表で分かります。
所得税は650万円を上から3つ目の税率20%の段で計算し、住民税は10%です。
- 所得税
650万円×20%-427,500円=87万2,500円 - 住民税
650万円×10%=65万円
税金の合計は
約152万円
注:復興特別所得税の2.1%は考慮していません。
前述の通りiDeCoのかんたん税制優遇シミュレーションで計算したところ、年収500万円の人が、毎月1万円をiDeCoで投資すると96万円の節税効果でしたから、152万円は節税した分以上の税金ですね。
なお、今回紹介したiDeCoと退職金を同時に受け取るのは、最も税金が不利になるケースです。
受取る時期をずらすことや年金での受け取りを選択すれば、税金を減らすこともできます。
しかし、制度が複雑ですし、会社の規定によっても変わるので、個人が最適な選択をするのは困難でしょう。
これなら、新NISAを利用した方がいいですね。
会社員や公務員にiDeCoを勧めないわけ
さて、ここまで読まれたの方は、こう思われたかもしれません。
「退職金は予想できるんだから、税金の掛からないギリギリまでiDeCoを使えば良いんじゃ?」
しかし、これには重大な見落としがあります。
iDeCoを引き出す際の資産額がいくらになっているか、誰にもわからないのです。
退職控除の対象になるのはiDeCoで投資した元本と利益です。
長期で投資信託に投資する方がほとんどですので、利益を予想するのは困難でしょう。
たとえ投資時に節税になったとしても引き出し時の税金を考えてしまうと、わけが分からなくなってしまいますよね。
退職金がないからiDeCoが使いやすい
退職金のでない自営業やフリーランスなら退職控除額を心配する必要がありません。
仮に毎月1万円のつみたてを40年間(年平均+6%)で運用できた場合は、約2,000万ですから、2,200万円の退職控除がまるまる使え税金は掛かりません。
さらに投資時の節税効果は前述の通り年収500万円の人で約100万円です。
もちろんiDeCoだけで投資は十分ということはありませんので、新NISAや他の金融資産を組み合わせて資産運用計画を立てて下さい。
ここまでのまとめ:iDeCoの特徴
- 60歳まで引き出せない。
- 買付時に節税効果がある。
- 引出し時に退職控除額を超えると税金が掛かる。
投資先はeMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)で
結論として、フリーランスや自営業の方にiDeCoをオススメしました。
ではそのiDeCoで何に投資すべきかという、
私はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を推します。
低コストで全世界の株式に分散投資できる投資信託で、有名ネット証券の買い付けランキングでも1位になっていますね。
ひょっとして「なぬ?S&P500じゃないのか?」と思われたかもしれませんが、
私がオルカンをイチオシしている理由は別記事で書いていますので、ぜひ参考にして下さい。↓↓↓
イギリスの戦艦ドレッドノートから学ぶ:つみたて投資を始めるなら米国株より…
iDeCoでオルカンを買える証券会社
意外なことにSBI証券や楽天証券のiDeCo口座ではオルカンを買うことができません。
有名なネット証券ですとマネックス証券と松井証券で扱っています。
マネックス証券はネット証券3番手の大きな証券会社ですし、松井証券は創業1918年で100年以上の歴史を持つ証券会社です。
SBI証券や楽天証券と比べて知名度は劣りますが、大きな証券会社ですので安心して利用することができます。
マネックス証券 iDeCo:公式ホームページへ移動する。
松井証券:公式ホームページへ移動する。
オルカンと似た投資信託ならSBI証券や楽天証券でも
全世界株式に投資するつもりだがオルカンでなくてもいい方はSBI証券でも類似の投資信託があります。
SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))
この投資信託も全世界株式に投資しています。
信託報酬が年0.1102%とオルカンよりも若干割高ですが、優良投資信託といえるレベルです。
楽天証券の場合は
楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド
こちらは2023年10月に設定された新しい投資信託です。
まだ決算を迎えていませんので実質コストは分かりませんが、信託報酬は0.0561%と最安クラスです。
楽天証券の公式サイトはこちら↓↓↓
投資は新NISAだけじゃない!
この記事では、これから投資を始める若者に向け、適切な投資制度を紹介しました。
特に、退職金が少ない、またはない職業に就いている方々には、新NISAよりもiDeCo(個人型確定拠出年金)の利用をおすすめします。
iDeCoの特徴は以下の通りです
- 60歳まで引き出せないため、途中で使う心配がない。
- 投資時にも節税効果がある。
世間では投資といえば新NISAという風潮ですが、iDeCoが劣っている制度という訳ではありません。
むしろ使い方によっては新NISAより優れた部分があります。
最後にみたび新NISAとiDeCoの投資目的を載せておきましょう。
- 新NISA:老後になる前に使うお金(子供の教育資金など)
:退職金が期待できる職業の老後資金(会社員・公務員など) - iDeCo:退職金がない、少ない職業での老後資金(自営業・フリーランスなど)
iDeCoは退職金がない、または少ない自営業者やフリーランスにとって、老後の安定した資金源を確保できる大きなチャンスです。
新NISAとiDeCoを上手く併用して豊かな老後を目指していきましょう。
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