【厚生労働省がすすめる老後プラン】WPP理論で老後に臨む
老後の資産運用をどのように進めるべきか考えておられますか?
「65歳から年金をもらって…あとはその時考えよう」と思われているなら準備不足かもしれませんね。
2022年の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳です。
これはあくまで平均ですから、半数以上の方がこれより長く生きるわけです。
適当な計画で老後に突入しては、生活破綻は避けられないでしょう。
そこで今回は、そんな事態を回避するために厚生労働省が推奨する老後プラン『WPP理論』を紹介します。
場合によっては老後の生活破綻を完全に回避できますので、ぜひ参考にしてください。
65歳で年金を受け取るのが常識じゃない!
基本的に自分が何歳まで生きられるか分からないのですから、老後資金にいくら必要なのか悩みどこですよね。
前述の通り、平均寿命まで生きられるお金を貯めただけでは、足りない可能性があります。
じゃあ100歳まで?いやいや日本のご長寿記録は119歳ですよ…
かといって120歳まで生活できるお金を貯めるために極貧生活をしたあげく、70歳で旅立つことになってしまったら、化けて出たくなりますよね。
こんな長生きリスクに備えられるのが公的年金の繰り下げ需給です。
繰り下げ需給で受給率アップ
老後生活を安定させるためには、年金の繰り下げ需給が不可欠といっていいでしょう。
65歳時点で受け取る年金額を100とした場合、最長75歳まで受給を遅らせれば184の年金を受け取ることができます。
ひょっとして今「いやいや、仕事を引退したのに年金なしで、どうやって生活するんだよ」と思われましたか。
そこで登場するのが冒頭で少し話したWPP理論です。
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WPP理論で長生きリスクを回避
厚生労働省も推奨しているWPP理論の流れを簡単に説明すると以下の通りです。
- 65歳以降も労働と資産の取り崩しだけで生活する
- 公的年金は受け取らず繰り下げ需給
- 増額された公的年金が老後の生活費を上回るまで労働
- 一生涯、生活費以上の年金が手に入る
WPP理論の各項目をもう少し詳しく解説しましょう。
Work longer(就労延長):働けるうちは働く
定年後も働いて収入を得ることができれば、公的年金を受給することなく生活できます。
なにもフルタイムで働く必要は有りません。
あくまで心と体の負担にならない程度の労働を続けるのが前提です。
セーブした労働収入だけで生活費に足りない場合がほとんどでしょうから、次のPrivate Pension(私的年金)の出番です。
Private Pension(私的年金):手持ちの資産を取り崩す
私的年金は自分で貯めてきた資産と考えていいでしょう。
銀行預金や株、債券などの有価証券、企業年金などですね。
もちろんGPIFの投資配分を真似して保有している投資信託も私的年金に含まれますよ。
労働をセーブすることで足りなくなる生活費を私的年金を取り崩して補います。
ここで重要なのが就労延長と資産の取り崩しをいつまで続けるかですが、
それは公的年金の繰り下げで、年金の需給額が生活費を上回るまでです。
Public Pension(公的年金):繰り下げ需給で生活費を確保
老後の生活が不安なのは、自分が何歳まで生きるか分からないからです。
しかし、一生涯受給できる公的年金だけで老後の生活費を確保できるのなら、その心配は不要になるでしょう。
公的年金の受給を繰り下げ、受給額が老後の生活費を超えれば長生きしても生活費は確保できます。
WPP理論の一例
上の画像では65歳時点で生活費300万円に対し受給できる年金は240万円(月20万円)で、手持ちの貯蓄額を1000万円としています。
65歳から年金を受け取ってしまうと、不足する60万円を一生補填しながら生活しなくてはいけません。
しかし、3年間だけ年金受給を遅らせれば、生活費を年金だけでカバーできるので、何歳まで生きても生活費が足りなくなることはありません。
もちろん労働が負担でないのなら、社会とのつながりや健康のために、もう少し労働を続けてもいいでしょう。
国民年金なら運用をしながら取り崩しを
上の例を見て「オイオイ、俺はフリーランスだぞ」と思われた方が多いかもしれませんので、国民年金を想定した一例も載せておきます。
国民年金は満額で月額68,000円(令和6年度)ですから、年間81万6,000円です。
これを75歳まで繰り下げれば+84%で約150万円
そこでこんな想定で資産額をグラフにしました。
- 生活費は年300万円
- 年利5%が期待できる資産で保有
- 65歳~75歳:取り崩し額年100万円(軽い労働を継続する)
- 75歳以降:取り崩し額年150万円(国民年金を繰り下げ受給し+84%)
厚生年金のように繰り下げて生活費を年金だけで賄うことはできませんので、資産の取り崩しと合わせた老後プランが現実的でしょう。
65歳時点で2,500万円の資産、年利回り5%期待とそこそこな利回りで計算して、ご長寿の日本記録くらいまで資産が残っていますね。
老後生活のために本を一冊読みましょう。
このようにWPP理論は長生きリスクを回避するのに有効な戦略なのですが、いろいろと不確定要素があるのが老後生活。
しかし、足りないと嘆いていてもお金は増えません!
老後資金が足りないと分かったのなら今から行動に移しましょう。
家計を見直して無駄な支出を減らす。副業を始める。家賃の安い家に引っ越すなどなど、やれることはいくらでもあります。
ただ、方向性が定まっていなくては何をやっても迷走してしまいますので、安定した老後を迎えるため、先にWPP理論の関連書籍を一冊読まれることをおすすめします。
WPP理論を提案された谷内陽一さんが執筆された書籍です↓↓↓
年金の繰下げ受給で老後生活の安定を
何歳まで生きるか誰にも分からないですから、老後資金の運用は非常に難しいです。
しかし、公的年金の受給を繰り下げることで増えた年金で生活費を賄うことができれば、何歳まで長生きしても安心です。
老後の生活には不確定要素が多く含まれています。
不明瞭なままで悩むよりも、今から具体的な行動を起こして計画的に資産を管理することが、将来的な安心へとつながるでしょう。
今回の記事が、その第一歩となれば幸いです。
老後資金の運用方法は別記事で解説しています。↓↓↓
【50代60代のための資産運用】投資信託で世界一の投資家を簡単に真似できる
最初の一歩はWPP理論の書籍から!