「分配利回10%、安定している様に見える」事で有名な米国ETF『QYLD:Global X NASDAQ 100 Covered Call ETF』
最近は下火になりましたが、少し前まで大人気ETFでした。
NASDAQの名前が入った高分配ETFという事で、気になっている方がいるかもしれませんが結論は
投資するに値せずです。
その理由はこちら
- そもそもナスダックに投資してない
- ETFの仕組み上、右肩下がりにしかならない
QYLDの仕組みが良く分からないまま、勘違いして買っている皆さん、大切なお金を守るため、ぜひこの記事を役立てて下さい。
※今回はQYLDを取り上げていますが、XYLDなど別のカバードコールETFにも当てはまる内容です。
QYLDはナスダック投資ではない
まず公式HPでQYLDの説明を見てみましょう。
カバード・コール戦略で利益を生み出そうとするもので、ナスダック100指数の株式を購入し、対応する同一指数のコール・オプションを売却します。
そもそも「コール・オプションってなんですか?」ですよね。
投資の大原則「分からない物には手を出すな」から考えれば、この時点でQYLDは投資対象にならないのですが少し解説しましょう。
まず多くの方が『ナスダック100指数の株式を購入し』と書いてあるので、ナスダックに投資するETFと勘違いされています。
しかし、QYLDはナスダックには投資していません。
投資先はコールオプションというものです。
コールオプションとは:株式を〇日後に△ドルで買う予約券
コールオプションは株式の予約券みたいなものです。
例えばあなたは1万㌦のA社株をどうしても欲しいですが、手持ちの投資資金は500㌦しかありません。
しかし、1ヶ月待てば確実に1万㌦が準備できる見込みがあります。
こんな時
『1ヶ月後にA社株を1万㌦で買える予約券』が500㌦で売られていたらどうするでしょう。
1ヶ月先、A社株が値上がりしていたら買えませんから魅力的な予約券ですね。
この株を買うための予約券がコール・オプションです。
QYLDはナスダックに投資しているのではなく、ナスダック銘柄の株を買うための予約券を販売した代金で分配金を支払うETFなのです。
組入れ銘柄をチェックしても無意味
「いやいや、QYLDの組入れ銘柄はHPで公開されているぞ!」と思われた方は良く調べられていますね。
確かにHPではQYLDの組入れ銘柄が公開されています。
しかし、これらの株式は投資しているのではなく、株価が上昇してしまった時に予約券を持っている人に引き渡すために保管しているだけなのです。
コールオプション売りは破滅の道
ここでもう一度QYLDの説明を見てみましょう。
カバード・コール戦略で利益を生み出そうとするもので、ナスダック100指数の株式を購入し、対応する同一指数のコール・オプションを売却します。
『コールオプションを売却』と書かれていますね。
このケースではコール・オプションという予約券を売った以上、予約券の期日にA社株を1万㌦で予約券の持ち主に引き渡さなくてはいけません。
もし株価が10倍に値上がりしても、その株を10万㌦で買ってきて1万㌦で引き渡す義務があるのです。
極端な話1億㌦でも同じですから、オプション売りは超危険な取引なんです。
カバード・コール戦略で大損を回避
しかし、QYLDは上場されている投資信託ですから、そんな危険な投資をするはずありませんね。
コール・オプション(予約券)を売った時、同時にナスダック銘柄も買い付けます。
それがホームページで公開されているQYLDの組入れ銘柄なのです。
- コールオプション(予約券)を売る
- 同じ銘柄の株式を保有しておく
これなら、たとえ株価が1億倍になろうとも、保有中の株を相手に渡せば確実に予約券の義務をまっとうできます。
つまりナスダック銘柄が値上がりしようがQYLDの投資家にとって関係ありません。
これがQYLDの説明にあるカバード・コール戦略なんですよ。
株価の下落は直撃する
とはいえ、カバード・コール戦略も良いことばかりではありません。
リスクを取らずに利益を得るなど不可能なのです。
ナスダック銘柄を保有しているので株価が下がれば、その損失が直撃します。
QYLDの基準価額は以下のように決まります。
- コール・オプション料受け取りでちょっと上がる
- 分配金を出してちょっと下がる
- ナスダックが下がれば下がる
つまり、上昇分は小さいが、下がる時はナスダックと同じくらい下がるのがQYLDなんです。
当然、投資した結果はナスダックにぼろ負けします。(当たり前ですが)
画像は分配金にかかる税金を考慮していませんから、実際はもっと悲惨な差になるでしょう。
下落時のリスクはたいして変わらないのに得られる利益は段違い…
これでもQYLDはあなたにとって合理的な投資先ですか?
そもそも目的が分配金を得ることだけなら、ETFにこだわる必要はありません。
ナスダックの投資信託でいいんじゃない?
どうしてもナスダックに投資して分配金(現金)を得たいのであれば、通常のナスダック投資信託に投資して、必要な額を定期的に取り崩す方が合理的です。
これにより下落リスクは同じで、ナスダックの上昇からお小遣いを得ることができるでしょう。
たとえば
- 投資信託を100万円買付け
- 毎月1万円の定期売却設定
楽天証券は新NISAでの定期売却サービスに対応してます。詳しくは別記事をご覧ください↓↓↓
分配金に頼らなくても現金は受け取れる!新NISAで自動定期売却サービス
これなら毎月1万円が全自動で口座に振り込まれます。
新NISAの成長投資枠が利用できれば税金もとられません。
もちろん1年で12万円の取り崩しですから、投資信託の残高は少しずつ減っていくでしょう。
いかにナスダックとはいえ、安定的に年利12%は非現実的です。
しかし、右肩下がりの資産額はQYLDでも同じですよね。
おすすめの投資信託は2本
ナスダックに投資する投資信託はいくつかありますが、以下の2本が低コストでおすすめです。
- eMAXIS NASDAQ100インデックス
(信託報酬:0.2035%) - <購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンド
(信託報酬:0.2035%)
少し前までeMAXISの信託報酬は0.4%を超えていましたが、ニッセイに対抗して下げてきたため、現在のナスダック投資信託はこの2強といっていいでしょう。
注:PayPay投信もありますが、隠れコストが異常に高くおススメしてません。
まとめ:
QYLDはナスダックではなくナスダックのコール・オプションから利益を得るETFなので、ナスダックの株価上昇の恩恵を全く受けられません。
それでいて、下落時はナスダックの下落が直撃してしまう割に合わない投資先です。
資産から現金を得ることが目的なら、投資信託の定期売却を利用した方が合理的でしょう。
分配利回りにだまされるな
一部、無責任なインフルエンサーがQYLDでFIREできるという動画や本を出していますが、それらはエンタメとして楽しんで下さい。
分配金は『資産の自動売却機能』でしかありません。10%の分配金を受け取って使えば、資産が10%減るのです。
書店で販売されている本を滅多切りしてますので、QYLDに夢を持たれている方はぜひ一読を↓↓↓
↓投資ブログランキングに応援クリックお願いします↓
X(Twitter)で投資に役立つ情報を毎日つぶやいています。
よしきよ@インデックス投資しか推さない『X』 (@yoshikiyo66) / Twitter
広告