株価連動債券が何でダメなのか?画像を使って解説
証券会社や銀行のHPを見ると、『年利8%・株価連動債券』等の広告がデカデカとアピールされていますね。。
しかし、これら株価連動債券等の仕組債に金融庁が激オコなのはご存じでしょうか?
なんでも、見えない手数料を取り過ぎているとか何とか・・・
金融庁、仕組み債の手数料開示義務化へ 顧客本位徹底: 日本経済新聞
しかし、ただ「止めとけ」と言われただけでは、納得できないですよね。
「もっと、わかりやすく説明してくれよ」と思われた方がほとんどでしょう。
私の意見としても、株価連動債券等の通称『仕組債』には、絶対に投資してはいけません。
それは、損する可能性が高いから等ではなく、以下の3つの理由からです。
- 見えない手数料が高い。
- 仕組み上、銀行が儲かる様にできている。
- 損するまで止めづらい。
今回の記事では、仕組債の代表である株価連動債券の仕組みを、画像付きでわかりやすく解説しています。
いかに馬鹿馬鹿しい投資をしようとしているか気付いて頂けますので、証券会社や銀行に手数料を寄付したい人以外は、ぜひ最後までご覧ください。
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平均的な株価連動債券の特徴
各証券会社や銀行では様々な株価連動債券が売られていますが、平均するとこんな感じでしょうか↓↓↓
・名称:〇〇連動債券・早期償還特約付き
・参照先:そこそこ有名な企業の株価又は株価指数(日経平均・NASDAQ等)
・利率:年8%程度
・期間:1年
・早期償還判定水準:当初価格の105%
・早期償還判定日:3か月ごと
・ノックイン株価:当初価格の70%
注1:満期に元本が償還されるが、参照先の価格が一度でもノックイン価格以下になれば、償還額が株や株価指数に連動する。(株が暴落すれば、償還金も大きく減る)
注2:株価が3ヶ月毎の判定日に早期償還判定水準を上回っていたら、早期償還される。
要約すると
「満期まで保有していれば、年8%の高利回り債券だけど、金利が貰えるかは株価次第です。元本も保証されていません。」
という金融商品です。
見えない所で手数料を取られています。
仮に、この仕組債を100万円買い付けたとしましょう。
年利8%を、投資だけで稼ぐとなると、かなりのリスクを取る必要が有ります。
銀行はこの100万円を、どの様に運用して8%もの金利を稼ぐのでしょうか。
答えは、金庫にしまっておくだけなんですよw
注:ブログ主は金融機関の中の人ではありませんので、あくまで「銀行はこういう取引が出来る」という記事です。
仕組債を買い付けるために支払った100万円は、満期に返金するお金なので、大切に保管されます。
そのうえで、銀行はプットオプションを売却します。
プットオプションとは、「株式を、決められた期日に、決められた株価で売る権利」の事です。
プットOP価格がいくらになるか調べて見ました。
NASDAQの「1ヶ月後に今と同じ価格で買う権利」が、株価の約2.5%でしたので、
12倍して、株価の30%がOP料として計算します。
注:米国ETF『QYLD』の資料にNASDAQのオプション料が書かれていたので参考にしましたが、実際のOP料は計算が複雑で、単純にこれを12倍すれば良いという物ではありません。
銀行は1年後に株価10000(100万円)で売るプットOPを売って、OP料30万円を受け取ります。
30%のOP料から金利が支払われるのですから、年利8%は高利回りでも何でもなく、
「本当はもっと貰えるのに、銀行に高い手数料を取られている様なもの」なんです。
銀行HPの手数料欄に「債券を購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。」と書いてあるのは、「購入時の手数料は掛からない」という意味なんでしょうね。
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銀行はプットOPを売却するだけじゃない。
とはいえ銀行も、ただプットOPを売却しただけでは、大きなリスクを抱え続ける事になってしまいます。
なにせ、銀行はプットOPを売った事で
株価が何処まで暴落しようとも100万円で買取る義務があるんですから。
そのリスクを無くすためにあるのが、仕組債の特徴である早期償還やノックインなんです。
早期償還:利益確定&再び手数料を取れる
株価が上昇すると、早期償還で全額償還されてしまいます。
私達としては「順調に上がったのに勿体無い」と感じますが、銀行からしてみれば、
「OP売りのリスクを無くし、再び手数料を稼ぐチャンス」なんですよ。
解説板の③「株価上昇で安くなったプットOPを買い戻す」が気になりますよね。
仕組債を早期償還しても、売却したプットOPが消えてなくなるわけではありません。
そのまま放置していたら、株価下落で損失を被る可能性があります。そこでプットOPを買い戻して、無かった事にするんです。
早期償還時は必ず株価が上昇しているのですから、プットOPの価値は下がっています。そのため、銀行が初めに売った時よりも、安く買い戻すことが出来ます。
つまり、早期償還で銀行が損する事はありません。
更に、早期償還は必ず私達が少し儲けて償還されます。失礼ながら仕組債に投資する人は金融リテラシーがイマイチの方ですから、この成功体験は強烈でしょう。
再び仕組債に投資する可能性が高いです。
そうなれば何度でも手数料を稼がせてくれる、お得意様になってくれる事でしょう。
ノックインして満期償還:儲けは銀行、リスクは私達
続いて、ノックインした場合はどうなるでしょう。
株価が一度でもノックインライン以下になってしまったら、その後に上昇してもノックイン状態は継続されるので、銀行の儲け+22万円以上がここで確定します。
今回、銀行は、8000(80万円)に値下がりした株を100万円で買取る義務がありますが、金庫には私達が預けた元本100万円が保管されています。それで支払えば良いだけですよね。
あとは、受取った株式を売却して、私達(顧客)に返金すれば万事終了です。
仕組債ではリスクの殆んどが私達(顧客)が負うのに対し、高いOP料の恩恵に預かれるのは圧倒的に銀行の方なんです。
「リスクは私達、儲けは銀行」という闇が最も現れるのが、ノックイン状態での満期償還でしょう。
ノックインせずに満期償還:むしろノックインしてほしいw
銀行にとって、最も望ましくないのはノックインしそうでしない状態で満期を迎える事です。
ノックイン価格まで下落して無ければ、元本の100万円を償還する必要があります。
しかし、売っているプットOPが使われてしまえば、下落した株を高値で買い取る義務を果たさなければなりません。
受取OP料と合わせれば、大きな損失とはなりませんが、仕組債でも銀行が確実に儲かるという訳ではないんですね。
とはいえ、言い換えれば
ぎりぎりノックインに成らない価格で満期償還されない限り、銀行が儲かるという事です。
更に悪い事に、株価が下がったのに、投資した元本が満額償還されたので、「仕組債は安全な投資商品」と勘違いした人が、再び買ってしまうでしょう・・・
そりゃー銀行や証券会社も大きな広告を出したくなりますよねw
なお、再度書きますが、私は金融機関の中の人ではありません、「このような取引ができる」というだけで実際に行われているかは分かりません。
もし銀行の実態に詳しい方がいらっしゃいましたら、コメント欄でご指摘いただけると嬉しいです。
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まとめ:株価連動債券は銀行の為にある!
今回は株価連動債券がいかに銀行にとって儲かる商品なのかを解説しました。
早期償還もノックインも、銀行が利益を出すためのルールです。
早期償還
・プットOP売りの利益を確定できる
・小銭を儲けた顧客が再び仕組債を買ってくれる。
ノックイン
・元本を返す必要が無くなる。
・銀行の利益が確定する。
ここまで読んで下さった貴方は、既に株価連動債券に投資していて、利益を上げたことが有るのかもしれません。
しかし、それは「本来ならもっと多額の対価を貰えるリスクを取ったのに、小銭しか貰えなかった」という事です。
早期償還の小銭に満足して、買い続けていたら、何れはノックインに遭遇し、大きな損失を被ることになるでしょう。
投資には元本が減るリスクは付き物と割り切って、優良投資信託やETFに投資をした方が、まだ資産を増やす可能性が高いですよ。
ノックインや早期償還の確率をグラフにした記事も書いています↓↓↓www.katsurao.info
元本を減らしたくないなら、個人向け国債にしときましょう。www.katsurao.info
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