2024年9月27日に販売開始の『楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型):通称(楽天SCHD)』
年4回の分配金をお小遣いとしてもらいたい人に期待されているようですが・・・
本当にこの投資信託がベストの選択ですか?
他の投資信託や証券会社のサービスと比較しましたか?
今回はこの楽天SCHDについて解説します。
- 投資してはいけない人:老後までお金の目途がたっていない
- 楽天SCHDはこんな投資信託
- お金に余裕がある人が趣味で買うならあり
- お小遣いが欲しいなら、つみたて額を減らせばOK
- 配当金・分配金は不労所得じゃない!
- 投資信託の定期売却サービスは別記事で紹介
- まとめ
↓投資ブログランキングに応援クリックお願いします↓
投資してはいけない人:老後までお金の目途がたっていない
分配金目当ての投資は老後までお金の心配がない、つまり「もうお金を無理に増やす必要がない人」がやるものです。
なぜなら、分配金は自分の資産を売却して現金化しているだけだからですね。
ここで質問ですが、高利回りの分配金が出る楽天SCHDに投資して、お金を遊ばせておく余裕があるのでしょうか?
老後まで余裕で暮らせるは「老後2000万円だから2000万円あればいいよね」というわけではありません。
老後の生活費を予測し、年金に加えてどれだけの資産収入(取り崩し)が必要かも含めて、必要な額を貯める目途が立っているかが重要なのです。
楽天SCHDに投資するよりも、分配金のでないインデックスファンドに投資して老後までのライフプラン設計を優先さてください。
楽天SCHDはこんな投資信託
では楽天SCHDに投資する準備ができている方に向け解説をしましょう。
- 設定日:2024年9月18日
- 正式名称:楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)
- 通称:『楽天SCHD』
- 信託報酬:0.192%(本家SCHDの0.06%を含む)
- 分配金の外国税:二重課税調整制度が適用されるから取られない
- 投資先:10年以上連続の配当金支払い実績がある優良企業100社
- 運用会社:楽天投資顧問
- 証券会社:楽天証券のみで取扱
SCHDは米国ETFの名前(ティッカーシンボル)です。
日本で高配当株ETFというとVYMやSPYD、HDVなどが有名ですが、それと同じETFを示すアルファベットですね
楽天投資顧問という運用会社が預かった資産をSCHDという米国ETFに投資する投資信託、これが『楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)』通称:楽天SCHDなのです。
S&P500やVYMと比較(過去10年:分配金再投資)
SCHDは配当金を出す企業にしか投資しませんので、配当金をあまり出さない情報通信系の銘柄が大きく下げた2022年の下落は相対的に抑えられていますね。
ただトータルリターンではS&P500にかないません。
これは配当金を出すことで企業の資産を減らしてしまい、株価が上がり辛くなるのでしかたのないのです。
ただ、同じように高配当株に投資するVYMと比べるとトータルリターンは優れていますね。
お金に余裕がある人が趣味で買うならあり
ここまで書いてきてなんですが、楽天SCHDに投資する必要がある人はほとんどいません。
冒頭に少し書きましたが「変わった投資信託が出たから遊びで買う」ができるくらい、資金に余裕がある人だけでしょう。
なぜなら、資産収入が欲しいなら他にもっと合理的な手段があるからです。
お小遣いが欲しいなら、つみたて額を減らせばOK
ほとんどの方が新NISAでのつみたて投資をされているでしょう。
分配金を受け取りながら、別で投資することはすべて再投資になってしまいます。
そして分配金は受け取った時点で課税対象ですから、税金分だけ再投資額が減り、ものすごく効率の悪い投資になってしまうのです。
この問題を解決するため、毎月のつみたて額を減らすしかありません。
例えばeMAXIS Slim 米国株式(S&P 500)等に毎月2万円のつみたて投資をしているのなら、楽天SCHDに投資する予定の資金を全てS&P500に回し、
楽天SCHDから受け取る予定だった分配額の分だけ、つみたて額を減らすのです。
そうすれば、つみたて額を減らした分だけ自由に使える現金が増えますので、お小遣いにすることができますね。
説明すると長くなるので詳細は別記事で解説しています。参考にしてください。
↓↓↓
【配当金を再投資せず使ってる?】←これ勘違いです。新NISAで高配当株は止めとけ! - つみたて投資、止めるのやめましょう!
配当金・分配金は不労所得じゃない!
「いや、理屈じゃないんだ!資産から不労所得が欲しいんだ!」という方は投資信託の定期売却サービスを使えば分配金を出さない投資信託からでも不労所得を得られます。
「おいおい!投資信託を売ったら資産が減るから所得じゃないだろ!」と思うかもしれませんが、投資信託の仕組みを理解して頂ければ納得してもらえるでしょう。
配当金・分配金で資産は増えません
まず投資信託はたくさんの株式に投資をします。楽天SCHDは高配当銘柄100社に投資しますね。
つまり楽天SCHDが100社全ての株主なのですから企業が出す配当金を受け取ります。
例えば基準価額が10,000円のときに、投資先の企業が出す3%の配当金を受け取ったら基準価額はどうなるでしょう。
答えはなんと10,000円です。
「なぬ?10,300円の間違いだろ!」とツッコミを入れたくなる気持ちは分かりますが、配当金で資産は増えないのです。
配当落ちで株価が下がる
配当金を受け取っても、株価が配当金の分だけ下がるため基準価額は変わりません。
これを配当落ちといいます。
投資先の企業から300円の配当金が楽天SCHDの資産に入金されても、配当落ちで株価が9,700円に落ちればトータルの資産額は変りません。
基準価額も10,000円のままなのです。
分配金でも基準価額が下がる
では基準価額が10,000円の楽天SCHDが300円の分配金を出すとどうなるでしょう。
投資信託の基準価額は資産額で決まりますから、分配金を出して資産が減れば当然、基準価額も下がり9,700円になります。
受け取った300円の分配金と基準価額9,700円で10,000円の資産額は変りません。
ピザを小皿に取り分けても増えないのと同じように、分配金で資産は増えないのです。
では、投資信託が分配金を出さず、自分で投資信託を売却するとどうなるか…
こちらも9,700円の投資信託と売却した300円で10,000円ですね。
つまり配当金や分配金そのものは不労所得などではなく、ただの全自動資産売却機能にすぎないです。
ただ、投資先が広く分散された株式である以上、基本的に右肩上がりの上昇が期待できます。
「値上がりした資産を現金化した」と考えれば、働かずに資産を増やしたと考えても問題ないでしょう。
分配金より売却の方が税金が有利
さて、ここまで読んで頂き「分配金も売却も同じなら、分配金を貰えばいいだろ?」と思われたかもしれません。
しかし、分配金には致命的な弱点があります。それは税金が圧倒的に不利なことです。
通常の分配金には全額に20%(外国税調整の場合12%)の税金が掛かりますが、売却した場合は利益分に対してのみ20%の税金がかかります。
1000万円の資産から分配金と売却、それぞれで30万円の現金を得る場合で税金を計算してみましょう。(S&P500は値上がりして2倍になったと想定し計算)
💰楽天SCHDの保有額:1000万円
分配金の税金
:年30万円×12%(外国税調整後の税率)=『3.6万円』
💰eMAXIS Slim 米国株式(S&P 500)の保有額:1000万円
(50%分の500万円が含み益)
取り崩しの税金
:年30万円×50%×20%=『3万円』
S&P500は2倍に値上がりした状態にも関わらず、税金が少ないですね。
これに加えて、2つの投資信託にある信託報酬の差を0.1%で年1万円と考えると、この有利が逆転するのは考えづらいでしょう。
税金が安ければ、継続投資に回せる資金も増える
この計算は分かりやすくするためS&P500から30万円を売却しましたが、そもそも30万円も取り崩す必要はありません。
分配金で30万円を受け取ると税金の3万6千円がとられ、手取りは26万4千円です。
そして、新たに買付けたS&P500の投資信託は1年目ですから、含み益はせいぜい10%程度。
27万円だけ取り崩せば税金が5千円で26万5千円すから、手にする現金はほとんど変わりません。
取崩さなかった3万円は引き続き投資されるのですから、資産増加に貢献してくれるでしょう。
S&P500の方が期待利回りが高い
これに加え、そもそも期待できる利回りが高配当銘柄を集めた楽天SCHDよりもS&P500の方が高いことを忘れてはいけません。
配当金を出すということは、それだけ企業が自社の成長のために投資できる資金が減るということです。
つまり、配当金を出さない企業と比べ『株価が上がり辛い企業の詰め合わせパック』が高配当投資信託である楽天SCHDなのです。
投資信託の定期売却サービスは別記事で紹介
インデックスファンドの定期売却サービスは楽天証券とSBI証券で利用できます。
詳細は別記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
↓↓↓
配当金に頼らなくても現金は受け取れる!新NISAの投資信託を取り崩し方3選【自動定期売却サービス】 - つみたて投資、止めるのやめましょう!
まとめ
楽天SCHDに注目が集まっていいますが、誰でも簡単にお小遣いがもらえる魔法のファンドではありません。
投資するのは趣味で買う人だけで十分です。
- 今使えるお金を増やしたいなら
楽天SCHDを買い付ける予定だった資金でS&P500に投資し、つみたて投資額を減らす - どうしても資産から収入が欲しいなら
eMAXIS Slim 米国株式(S&P 500)などの優良投資信託を取崩した方が税金面で圧倒的に有利
大人気?投資信託だからといって飛びつくことなく、冷徹な目で優れた投資先であるかを見極めてください。
投資ブログランキングに応援クリックお願いします!
X(Twitter)で投資に役立つ情報を毎日つぶやいています。
よしきよ@インデックス投資しか推さない『X』 (@yoshikiyo66) / Twitter
広告