『QYLD』がコール・オプションの期日を迎えるたびに、不利になっていきます。
またまた前々回、前回に続いて『QYLD』の記事です。巷では「利回りが安定しているからFIREに最適なETF」なんぞという風潮が有るようですが、とんでもない。
『QYLD』を投資の軸に置いているFIRE生活者がいるはずありません。
こんな特殊なETFに頼らなくても十分な資産収入が有るからこそのFIRE生活者なのです。せいぜい話の種に遊び枠で保有する程度でしょう。(私もサイドFIRE生活から早くそっちへレベルアップしたいwww)
さて、前回記事のまとめでは「ナスダックの投資信託を買って、定期売却したほうが良い」と書かせていただきました。
私は世界経済は基本的に右肩上がりに成る事を疑っていません。会社を倒産させたい社長より、成長させたい社長の方が圧倒的に多いからです。
しかし、この基本的に右肩上がりの株価上昇の恩恵に全く預かれないETFが『QYLD』なのです。
今回の記事では安定した※配当金の利回りに釣られて長期保有を前提に『QYLD』を保有している方を絶望の淵に叩き落とすかもしれません、読み終わったあとには是非とも、投資信託やQQQへの乗り換えを検討してください。
※正確には配当金ではなく分配金ですが、初心者の方にも分かり易いように配当金と書かせていただきます。
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まず↓↓↓の記事で『コール・オプション』、『カバードコール戦略』など『QYLD』を理解するのに必要な用語を解説をしていますので、そちらを先に読んでいただいた方が、この先分かり易いと思います。www.katsurao.info
『QYLD』はどの時点からの値上がり益を放棄してるの?
すでに『QYLD』を保有している方は「値上がり益を放棄している」のはご存じですよね。ご存じですよねぇ!
しかし、100万円で買付けたなら、100万円より上昇する分を放棄しているんだと思ってないですか?これは正解でもあり、間違いでもあるんですよ。
毎月、値上がり益を放棄するラインが変動する。
『QYLD』が実施するカバードコール戦略はナスダック銘柄の株式を購入するのと同時に、1か月先のコール・オプション(買う権利)を売却します。
つまり、1か月ごとに株式とコール・オプションを精算しているんですよ。
「えっ?それがどうしたの?」と思いましたか、これはものすごく重要な事なんです。
ナスダック銘柄の株価が値上がりした場合の精算
- 『QYLD』の株価(基準価格):20$
- 買付時のナスダック指数:15000
- 精算時のナスダック指数:16000
この場合で精算が行われた場合、どうなるでしょうか
『QYLD』が保有している株式の価値は16000まで上がっていますが、コール・オプションの義務に従って15000で売り渡します。(株価の値上がり分を放棄)
そして新たに16000まで値上がりしたナスダック銘柄の株式を買って、コール・オプションを売却し、受取ったオプションプレミアムから配当金が支払われます。
『QYLD』の株価(基準価格)は配当に回さなかった分のオプションプレミアムが加算されますから、この場合は20.1$程度まで僅かに上昇するでしょうか。
注目すべきは、株価(基準価格)はほとんど変わらないのに、値上がり益を放棄するラインが前月の15000から16000に上がったという事ですね。
逆に言えば、「ここより下がった分は損しますよ」のラインが上がったと言い換えることも出来ます。
カバードコール戦略の特徴が『上昇分は放棄するけど、下落分は損失を被る』、なのを忘れてませんよね。
ナスダック銘柄の株価が値下がりした場合の精算
次はナスダック銘柄の株価が値下がりした場合をみてみましょう。
- 『QYLD』の株価(基準価格):20$
- 買付時のナスダック指数:15000
- 精算時のナスダック指数:14000
『QYLD』が保有している株式の価値は14000まで下がったので、コール・オプションの義務(15000の時の株価で売却する義務)は消滅しました。
値下がりしたナスダック銘柄の株式は保有を継続し、新たに14000の価格でコール・オプションを売却、オプションプレミアムを受け取ります。
株価の下落率が6.7%ほどですので『QYLD』の株価(基準価格)は20$から18.7$くらいまで下落しています、受取るオプションプレミアムを3%とすると(コロナショック時でも4.4%でした)、配当金に1%、配当に回さず資産に追加される分が2%で、株価(基準価格)は19.07$といった所でしょうか。
ここでも注目すべきは『値上がり益を放棄するライン』が前月の15000から14000に下がったという事です。
もちろん『ここより下がった分は損失ですよライン』も同時に下がりましたが、『損失ですよ』が『損しましたよ』に変わっただけです。(笑)
株価(基準価格)が1$近く下落したのに、『値上がり益を放棄するライン』まで下がったら泣きっ面に蜂ですね。
毎月の精算でドンドン不利になっていく?
『QYLD』は、毎月のコール・オプションの権利日(期日)に精算が行われます。
ナスダック銘柄の株価が上昇すれば「ここより下がった分は損失ですよ」のラインが更新され、少しの下落で損失を被るようになります。
逆に下落すれば、『値上がり益を放棄するライン』が引き下げられ、株価(基準価格)の上昇が全く期待できなくなります。
期日である精算日を迎えると配当金は貰えます。しかし、その度に少しづつ『QYLD』の株価(基準価格)が下がり易く、上がりにくい状態に追い込まれている感じがするのは気のせいでしょうか?
『QYLD』はどう考えても割に合わないでしょ?
3回の記事分けて『QYLD』の悪口問題点を取り上げてきました。結論としては『普通にナスダックに投資した方が圧倒的に有利でしょ!』という事です。
過去10年のナスダックの成績は以下の通りです。
- 平均対前月比 :+1.6%
- 10年間での成長:6倍
ナスダックは10年で6倍に成長していますが、仮に『QYLD』が奇跡的に基準価格が下がらず、毎月1%(年間12%)の配当金を受け取り、更にそれを全額再投資したとしても、10年で3倍強にしかなりません。
自動で配当金が入金されるのがそんなに魅力的ですか?
あえて金銭的に不利だと承知していても『QYLD』に投資している方の殆んどが「配当金が自動で入金されるから」という理由ですよね。
しかし、小銭程度ならまだしも、100万円投資していたら、10年で300万円の差ですよ・・・
売却の決断が出来ない?ドルを売る決断をしてるでしょ?
「売却時を自分で判断が出来ないから『QYLD』を保有している」という方も勘違いしておられます。『QYLD』は米国ETFですから、配当金は米ドルで入金されます、日本で使うには、ドルを売って円に替えなければいけません。
すでにナスダック程ではないにせよ、値動のある米ドルを売却する決断をしているんですよ、投資信託を売却できないはずがないじゃないですか。
まさか、円に替えずに米ドルのまま再投資しているなんてことは無いですよね?それならなおの事、無駄な税金がかからないだけ、投資信託の方が圧倒的に有利です。
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全力で『QYLD』よりナスダックに投資を勧めます。
最後に、ナスダックに投資する投資先とおススメの証券会社を載せて終わりにします。
投資信託&定率売却サービス
前回記事 でも取り上げた投資信託&定期売却サービスの組み合わせです。
『eMAXIS NASDAQ100インデックス』を買付し、楽天証券の毎月定率売却の設定を月0.9%にすれば、定期的に年利10.8%の利回りで現金(日本円)が口座に振り込まれます。
最初に設定だけしてしまえば、ほったらかしで良いので、「毎月売却するのが面倒くさい」「売却する判断が自分で出来ない」といった方には打って付けの投資方でしょう。
国内ETF『MAXISナスダック100上場投信(2631)』
国内ETFでもナスダックに投資する事が出来ます。投資信託と違い、東証が開いている時間なら売買できるので、夜の米国市場が下落した時に、すぐ損切り出来るのがメリットでしょうか。
『MAXISナスダック100上場投信(2631)』の売買には株式と同じ売買手数料が適用されますが、昨今は手数料の値下げ競争が激化し、1日定額制の手数料無料サービスをやっている証券会社が増えたので問題ないでしょう。
各証券会社の取引手数料(国内株式:現物)
2022年 2月現在 |
1日定額 50万円まで |
1日定額 100万円まで |
1取引ごと 5万円 |
1取引ごと 50万円 |
---|---|---|---|---|
GMOクリック証券 | 0円 | 0円 | 50円 | 260円 |
DMM株 | 設定なし | 設定なし | 55円 | 198円 |
SBI証券 | 0円 | 0円 | 55円 | 275円 |
楽天証券 | 0円 | 0円 | 55円 | 275円 |
auカブコム証券 | 0円 | 0円 | 99円 | 275円 |
マネックス 証券 |
550円 | 550円 | 110円 | 495円 |
松井証券 | 年齢で手数料体系が変わります。 | |||
25歳以下 | 0円 | ※0円 | 設定なし | 設定なし |
26歳以上 | 0円 | 1,100円 | 設定なし | 設定なし |
※取引金額にかかわらず無料です。
100万円以下の定額手数料無料で、5万円以下の1取引毎最安のGMOクリック証券、成人したばかりの方なら、手数料無料の松井証券あたりに口座を準備されてはいかがでしょうか。
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100年の歴史を持つ老舗証券会社松井証券の公式サイト↓↓↓
米国ETF『QQQ』
皆さんご存じの『QQQ』です。ナスダックに投資する米国ETFなので『QYLD』に投資している方は投資を検討したことが有るでしょう。
国内の投資信託より信託報酬は安いですが、米ドルでの買付になるので、為替手数料や売買手数料が掛かってしまいます。
「私はどうしても米国ETFに投資をしたい」という方なら『QQQ』一択になるでしょうね。
お勧めの証券会社はDMM.com証券とSBI証券です。先に主な米国ETF取り扱い会社の一覧を載せておきますのでご覧ください。
米国株を買える証券会社
為替手数料 1$あたり |
売買 手数料 |
外貨 買付 |
取引 単位 |
取扱 銘柄数 ※5 |
ポイント 買付 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
DMM.com 証券 |
片道25銭※1 | 0円 | ✖ | 1株 | 1,496 | ✖ |
楽天証券 | 片道25銭 | 0.495%※3 | 〇 | 1株 | 4,584 | 〇 |
SBI証券 | 片道4銭※2 | 0.495%※3 | 〇 | 1株 | 4,857 | ✖ |
マネックス 証券 |
買付 0銭 売却25銭 |
0.495%※3 | 〇 | 1株 | 4,296 | ✖ |
PayPay 証券 |
片道35銭 | 0.5%※4 | ✖ | 1,000円 | 172 | ✖ |
※1:配当金、分配金に掛かる為替手数料は1$毎に1円。
※2:住信SBIネット銀行の外貨預金を利用した場合、通常は25銭。
※3:上限手数料22㌦、各証券会社で買付手数料無料のETF有り。
※4:取引時間外の場合は0.7%。
※5:令和3年12月18日時点の銘柄数。
DMM.com証券のDMM株は売買手数料が無料です。為替手数料は25銭で大手証券に比べてやや高めですが、売買手数料が無料のアドバンテージは大きいですね。
『QQQ』が385$の場合(1$=115円)の支払手数料は↓↓↓
- DMM株:385$×25銭×2=192.5円
- マネックス証券:385$×25銭=96.25円
385$×0.495%×2×115円=438.32円
計534.57円
DMM株のデメリットとして、外貨取引が出来ず、配当金が自動的に日本円に両替されてしまうのですが、配当金狙いだった『QYLD』ファンの方なら、一手間省けるメリットにもなります。
また、配当金に掛かる為替手数料は都市銀行並みですが、『QQQ』の分配金は0.5%程度なので影響は少ないでしょう。
SBI証券は一部の銘柄の買付手数料無料サービスをやっており、2022年4月時点、『QQQ』が対象銘柄です。
チョット高い手数料でも、大手の証券会社の方が安心できるという方は、SBI証券がおススメです。
↓↓↓売買手数料が無料のDMM 株、公式ページ
最後に一言
『QYLD』より普通にナスダックに投資した方が絶対に良い!
3記事に渡るお付き合い、ありがとうございました!
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