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ベストセラー(ビジネス書):両学長『お金の大学』は初心者におすすめだが、4つの疑問点を解説

2025年の年間ベストセラー・ビジネス書部門で1位を獲得した『改訂版 本当の自由を手に入れるお金の大学』

著者の両学長は登録者数500万超の人気YouTubeチャンネル「リベラルアーツ大学」を運営し、投資初心者に分かりやすいお金の知識を発信し続けています。

結論から言えば、この書籍は投資初心者が経済的自由を目指すための入門書として非常に優れています。

ただし、一部の解説には疑問が残る箇所があり、特に「払い済み保険の扱い」「年金の繰下げ受給」「定率4%ルールの解説」「高配当株投資の推奨」の4点については、補足が必要でしょう。

テキストが苦手な方に向け動画でも解説しています⇩

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お金の大学が目指す経済的自由とは

この本では経済的自由を「生活費以上の資産所得がある状態」と定義しています。

たとえば年間生活費が300万円なら、株式の配当金などから300万円以上の収入を得られる状態ですね。

重要なのは労働収入ではなく資産所得である点。給料は働くのを止めたら途絶えますが、株式の配当金は寝ていても手に入ります。

この経済的自由を手に入れるために、本書では0から5までの6つのステップで解説が進みますのでこれから解説しましょう。

ステップ1:固定費削減で貯蓄を増やす

最初のステップは「支出を減らして貯蓄を増やそう」です。

ここで重要なのは、電気をこまめに消すといった日々の節約ではなく、一度実行すれば効果が持続する固定費削減に重点を置いている点でしょう。

具体的には通信費、保険、家賃、車、税金などです。

保険の見直しは最重要項目

出典:リベラルアーツ大学

本書で最もページ数を割いているのが無駄な保険の見直しですね。

不要な保険に月◯万円も払っていては経済的自由など遥か彼方です。

必要な保険は確率低損失大(当たる確率は低いが、当たったら人生が狂うケース)に備えるものだけとしています。

具体的には以下の3つ

  • 火災保険
  • 対人対物損害保険
  • 必要な生命保険
    注:必要とは一家の大黒柱が亡くなり、遺族年金や貯蓄だけでは家族が生活できなくなるケースなど

一方で医療保険については、日本の公的保険(健康保険・国民健康保険)が充実しているため基本的に不要としています。

高額療養費制度により医療費負担には上限があり、月9万円程度、白血病のような高額治療でも総額数十万円で済むため、貯金で対応できるということですね。

ただし、十分な貯蓄が貯まるまでのつなぎとして掛け捨ての医療保険が必要なので基本的にはというスタンスのようです。

貯蓄性がある(満期や解約でお金が返ってくる)保険についても手厳しい論調で書かれています。

特に外貨建て保険については「手数料が最大80%」という指摘があり、「保険会社や銀行がぼったくっている」と手厳しい書き方をされていますね。

出典:リベラルアーツ大学

払い済み保険の扱いに疑問

保険を解約する際の注意点として、本書は「払い済み保険を勧められても契約するな」と明記し、「愚かなり」とまで断じています。

出典:リベラルアーツ大学

払い済み保険とは、保険を一旦解約して返戻金を受け取った後、そのお金で新しい保険に入り直す仕組みです。

しかし、この点については異なる見方もできます。

解約返戻金を銀行に預けたままにする人も少なくありません。

銀行預金の金利が低いことを考えれば、払い済み保険にして満期まで待った方が合理的な選択になることもあるでしょう。

過去に高い手数料を払っていたとしても、全解約でそれが返ってくるわけではありません。

もちろん、ローンの返済や新NISAで投資等、金の使い道が他にあるなら即座に解約すべきですが、「払い済み保険は絶対に愚か」と断定するのは少し極端かもしれません。

公的年金の繰下げ受給に触れていないのはなぜ

本書では個人年金保険などの老後に備えた民間保険は不要とし、公的年金の安全性について詳しく解説しています。

  • 制度上、会社員や公務員の年金未納は考えられない
  • 税金からも資金が回される
  • 過去の積立金も上手に運用されている

これらの理由から、日本の年金制度は安泰だと説明されています。

しかし、2024年の財政検証では過去30年と同じくらい経済が停滞すれば年金額が減少する試算も出ています。

そこで重要になるのが年金の繰下げ受給ですが、本書ではページ数の制限からか、この制度についての解説が見当たりません。

厚生労働省も公式サイトで紹介している繰下げ受給を軸にしたWPP理論は、安定した老後生活を送るための現実的な選択肢として検討に値します。

年金を繰り下げることで受給額を増やせるこの仕組みは、老後の資産形成において重要な要素です。

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ステップ2:インデックス投資で資産運用

投資のステップでは、まず生活防衛資金の確保から始めます。

会社員なら生活費の6ヶ月分、自営業なら1年分を用意すべきとしています。これは公的制度(雇用保険・傷病手当など)の充実度の違いによるものです。

S&P500への投資を推奨

本書が推奨する投資先は米国株式指数S&P500のインデックス投資信託です。

アメリカを選ぶ理由として以下の4点を挙げていますね。

  • 日本と異なり暴落からの回復が早く、基本的に右肩上がり
  • 途上国並みの人口増加が期待できる
  • 金融系の法律が整備されている
  • 世界を変えるイノベーションを産み出す国

一方で全世界株式の株価指数に投資する選択肢も紹介されており、「大差ないから自分にとって心地よい方を選んで」と結論づけています。

ただ、投資初心者にどちらか選べといっても難しいでしょう。

どちらも大差ないという結論のようですので、サイコロ振って決めるか半分ずつの選択で良いと思います。

投資方法はドルコスト平均法での毎月積立てです。

株価を予想せず決められた日に定額で投資することで、最悪のタイミングで買うリスクを避けられます。

定率4%ルールの解説に問題あり

資産の取り崩し方法として、本書は定額4%と定率4%の2つを紹介しています。

しかし、定率4%の解説には大きな問題があります。

本書では「期待するリターンより低めの%で取り崩せば資産が半永久的に長持ちする」と説明していますが、これは誤解を招く表現です。

定率で売却するなら何%であっても資産はゼロになりません。

1000万円の4%は40万円、500万円になれば20万円、1万円なら400円です。

さらに問題なのは「暴落時に取り崩し額を控えめにする」という記述です。

生活費のために取り崩しているのであれば、控えめにして必要額に届かなければ生活できません。

結局、株価が上がった時は定額より多く取り崩し、下がった時は定額と同じだけ取り崩すことになり、これでは資産が早く枯渇するのは定率売却の方になってしまいます。

この時点で、もはや定率売却とは呼べません。

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高配当株投資の問題点

本書は不労所得を目的に連続増配銘柄への高配当株投資を勧めていますが、配当落ちについての解説が一切ありません。

配当落ちとは、企業が配当金を出すとその分だけ株価が下がる現象です。つまり配当金で資産が増えることはありません。

この説明がないと、配当金をタダでもらえるお小遣いと勘違いする初心者が出てきてしまいます。

さらに高配当株投資はプロでも難しいアクティブ投資です。

本書でも「難しいことが苦手な人にはインデックス投資がオススメ」としながら、すぐその下に

  • 絶対にインデックスに勝てない訳じゃない
  • ○○ならインデックスに勝ちやすい

と書いていますね。

投資の素人がその「○○」を見つけるのは容易ではありません。

最も問題なのは「インデックス投資+高配当株投資の両刀もあり」という記述です。

配当金を受け取りながらドルコスト平均法でインデックス投資を行うのは、ただの配当金の再投資に過ぎません。

税金を無駄に取られているだけです。

両学長はご自身のコミュニティ(リベラルアーツ大学・リベシティ)で高配当株投資を推していますが、それについての記事も投稿しています⇩

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ステップ3以降:稼ぐ・使う・守る

ステップ3では給料アップのための転職や副業について解説されています。

副業ではフロー型(働いた分だけお金になる)とストック型(仕組み化で継続収入)の2種類を紹介し、メルカリ販売、ウェブライター、YouTubeなど15個の副業を各1ページで解説しています。

ステップ4ではお金の使い方として、寄付、プレゼント、豊かな浪費、自己投資、時間を買う、健康への投資を挙げています。

ステップ5では資産を守るための知識として、詐欺、ぼったくり、浪費、インフレからお金を守る方法を解説しています。

特に金融機関の窓口で勧められる商品の多くが高コストであることを指摘し、「証券会社や銀行、保険会社の窓口には近づくな」と警告しています。

まとめ

  • 固定費削減は一度実行すれば継続的に効果がある
  • 日本は公的制度が充実しているため民間保険の多くは不要
  • 定率4%取り崩しには論理的な矛盾がある
  • 高配当株投資は配当落ちを理解してから検討すべき
  • 年金の繰下げ受給も老後資金の選択肢として重要

投資の第一歩として本書を活用しつつ、疑問点については別途調べて理解を深めていきましょう。

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