実は高利回りじゃない!会社の持株会はデメリットばかりです。
従業員持株会とは、自分の勤めている会社の株を、毎月少額ずつ買うことが出来る制度で、おまけとして10%程度(企業によって利率は異なる)の奨励金がもらえます。
銀行の利回りが0.0001%のこの時代ですから、積立貯金のつもりで持株会を続けている方が多いかもしれません。
『高利回りで安全』だと勘違いしたまま・・・
そして、その勘違いしている人達が、後輩に持株会をススメていくのですから、これからも制度を利用する社員が増えていく事でしょう。
しかし、持株会とは投資の中でもっとも難しいとされる、個別株投資の一種です。
理解しないまま続けていると、思いもよらない損失を被る事になってしまいますよ。
まず、奨励金が10%だからといって、年利10%の投資と同じだとは思っていませんか?
計算して見た所、持株奨励金の10%は年利1%にすら負ける利回りでした。(グラフは記事中段に載せています。)
持株会の利回りの勘違いされている方は沢山いらっしゃいます、恥ずかしながら私も新入社員時代には年利10%の株式投資と思って積立てていました。
その他にも↓↓↓のようなデメリットが有ります。
- 簡単に売却できない。
- 出金まで時間が掛かる。
- 給料と貯蓄を同時に失う危険がある。
なんとなく入った持株会を、なんとなくで続けている皆さん。
今のあなたは、持株会に依存する事で、お金だけでなく、人生を危険に晒しているかもしれませんよ。
更に記事の最後には持株会を有効に使って、もっとリスクを抑えて投資する方法も紹介しています。
ぜひ最後までお付き合い下さい。
持株会で自分の会社に有利に投資できる。
持株会は『従業員が自社の株を買付・保有できる制度』で、大抵の場合、奨励金として積立て額より10%程度多い株式を受け取ることが出来ます。
ただ、株価の上下で資産が増えたり減ったりするのは、普通の株式投資と変わりません。
あくまで、奨励金を受け取る分、ちょっと有利に株式投資を行えるだけです。
「会社の積立だから貯金と同じでしょ?」と勘違いされていた方はいらっしゃいませんか?
株式投資と比べて何が違うの?
さて、持株会を他の株式投資と比較してみましょう。
持株会 | 個別株 | eMAXIS Slime 国内株式 |
国内ETF 1305 |
|
---|---|---|---|---|
持株 奨励金 |
10%程 | ー | ー | ー |
換金まで | 数週間 | 数日 | 数日 | 数日 |
配当 分配 |
あり 再投資 |
あり (無配銘柄アリ) |
なし | あり |
投資額 | 1,000円 単位 |
1株 | 100円以上 1円単位 |
1株 |
株主 |
なし |
あり |
なし | なし |
リスク 分散 |
× | × | 〇 | 〇 |
税制 優遇 |
なし | NISA | NISA.iDeCo | NISA |
持株会のメリットは奨励金だけ!
持株会のメリットは持株奨励金だけです!
投資額が少額で済むことをメリットに挙げる方が多いですが、投資信託なら100円から投資できますので、メリットには成りえません。
更に個別株やETFに関しても、近年はSBI証券やLINE証券
等で一株単位の買い付け可能なので、銘柄によっては数百円で投資する事が出来ます。
一株単位の株式買い付けが可能なSBI証券
持株会のデメリット
①そんなに高利回りじゃない!
奨励金10%だから年利10%だと勘違いしている方が結構おられるようですが、下のグラフは持株会と年利1%で株式投資した場合を比べたものです。
1%の利回りに10%の奨励金を貰った持株会が負けていますね。
これは、株式投資が資産全額に対して1%増えるのに対し、持株会は、買付時に一度だけ10%の『おまけ』が貰えるだけだからです。
積立てた全額に対して10%の利回りが有るわけではありません。
持株会を始めたばかりの頃ならともかく、投資総額が増えてくれば、誤差程度にしかならないんですよ。
②売却するのが色々と面倒
普通の株式投資は、ネット証券のクリック一つで簡単に売却することが出来ます。
しかし、持株会の売却には様々な障害が待ち構えているんですよ。
持株会で取得した自社株を売却するには、会社に申請が必要です。PCでこっそりと出来るのなら良いですが、会社によっては書面で提出する必要があります。
当然、同僚や部下、上司に知られるわけですよ。
すると、どこからともなく湧いてくるのが「愛社精神は無いのか!」オジサン
本人はコミュニケーションの一環で、冗談を言っているのかもしれませんが、これを愛想笑いで、あしらうのが面倒くさかったです。(実話ですw)
他にも使い道を聞いてきたり、頼みもしないのに売却時期のアドバイスをしてきたり・・・
周辺にデリカシーの無い人がいる場合は、かなりの労力を必要とします。覚悟しておいて下さい。
③換金までに数週間も掛かる
ネット証券で株式や投資信託を売却した場合、数日後(土休日の有無で変わる)に出金が可能になります。
しかし、持株会は売却の申請をした後、数週間待たないと出金できません。
更に、いつ出金できるか正確に把握するのが難しいんですよ。
申請書の受理作業を月末にまとめてやる場合は、締切日がいつか知っておく必要が有りますし、企業の決算が近いと売却できない場合も有ります。
さらに悪い事に、申請を受理する担当者も、詳しく知らない場合が多々あるんですよ。
使い道が決まっているお金なら、早めに売却申請をする必要が有りますね。
④一つの会社に人生を賭ける事に
ある意味最大のデメリットが、人生をただ一つの民間企業に託してしまう事です。
どんなに大企業であろうとも、未来永劫安泰ということはありません。
もし自分の勤める企業の業績が下がれば、株価下落で持株会の資産は激減、ボーナスカットで年収も下がります。
最悪、倒産となれば、資産と収入の両方を瞬時に失うことになります。
もし、投資余力の全てを持株会に投入していたら、人生が破綻してしまいますよ。
あなたの勤める会社は世界一ですか?
さて、ここまで読んでいただいた方の多くは、こう思われた事でしょう
「でも、株価が上がれば利益が出るでしょ」と・・・
確かにその通りなのですが、米国をはじめ世界には数多の有力企業が有り、今はネット証券を通じて簡単に投資する事が出来ます。
そんな中、あえて持株会に投資するという事は
「我社はGoogleやMicrosoftに匹敵する優良企業だ」
と言っているのと同じなんですよ。
奨励金の価値を年利1%のハンデと考えても、米国の大企業と、まともに勝負できる会社に勤めておられる方は、少数派だと思いますよ。
即売却で持株会を有効に使える
持株会のデメリットばかり紹介しましたが、条件次第では有効に使うことも出来ます。
その条件とは。
- 株価が安く、売却可能な単元株まですぐに貯まる。
- 持ち株を簡単に売却できる風土の企業。
最低でもこの2つが必要です。
ようは、「単元株まで貯まったら、即売却して、他に投資しちゃいましょう」という事です。
持株会の奨励金で米国株に投資
米国株に投資と言っても、特定の一社に投資しては、リスク分散になりません。それでは持株会と同じです。
投資するのはインデックス投資信託と呼ばれる、株式市場全体に投資する投資信託です。
TVの経済ニュースで流れるS&P500やNASDAQという用語に聞き覚えありますよね。
例えばS&P500は米国の優良企業500社の値動きを表した指数です。
つまり、S&P500のインデックス投資信託に投資すれば、米国の優良企業500社に分散投資したのと同じ効果があるんですよ。
自社が倒産すれば、すべてが終わる持株会と違い、仮に運悪く倒産する企業が有ったとしても、500社の中の一社だけなら、影響は大きくありませんね。
投資先としておススメなのは、S&P500なら手数料が最安クラスの投資信託『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』です。
SBI証券やマネックス証券などのインターネット証券から投資する事が出来ます。
ちょっと高めのリスクを取ってでも利益を狙いたいなら、NASDAQに投資する米国ETFの『QQQ』なんかもおススメですね。
SBI証券とマネックス証券なら買付手数料無料銘柄にも含まれていてお得ですよ。
持株会は奨励金の10%だけをありがたく頂いて、インデックス投資信託に使わせて貰いましょう。
ネット証券最大手のSBI証券。
買付時の為替手数料まで無料のマネックス証券の口座開設ページ↓↓↓
注:令和5年2月時点
まとめ:持株会よりインデックス投資を
今回の記事では、持株会のメリット・デメリットについて解説しました。
「高利回りで、安全な投資」と感じる持株会も、実はそれほど有利な投資ではありません。
唯一のメリット
- 奨励金が貰える。
デメリット
- 実は高利回りじゃない。
- 売却するのが面倒。
- 出金するまで時間が掛かる。
- 収入と資産を同時に失う危険がある。
結論としては、持株会での資産形成はおススメしません。
株式投資をするなら、米国株のインデックス投資の方が以下の全てにおいて有利と考えるからです。
- 期待できる利回り
- 換金時の手間と入金までの日数
- リスク分散効果
特にリスク分散を考えるなら、インデックス投資信託は最強の投資先と言えるでしょう。
順調に資産を増やす事が出来れば、心に余裕が出来て、仕事のパフォーマンスも向上します。
会社にとってもそれは望む所でしょう。
奨励金だけありがたく頂いて、S&P500やNASDAQへの投資を始めてしまいましょう。
老後資金の為なら確定拠出年金(企業型DC)も選択肢に入りますね。www.katsurao.info
この記事で紹介した証券会社
一株単位の株式買い付けが可能なSBI証券
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