『年金を繰下げ受給するなんて大損だ!』と思っているそこのあなた!
年金制度に対する疑問や不安は尽きないものですが、その不安の多くは誤解や誤った情報から生まれています。
そもそも年金を受け取り始める年齢を『損』か『得』かという視点だけで判断してしまっては、あなたの老後生活を破綻に追い込んでしまうかもしれません。
実は年金の受給を繰り下げた方が安定した老後を送ることができるのです。
今回は「年金は早くもらった方が良い」と考える方がよくする、年金の繰り下げ需給に対する勘違いを正す記事です。
とくに「年金が予想より少なくて心配」という老後突入直前の50代には有料級の記事ですのでぜひ最後までお付き合いください。
年金の繰下げ受給に対してこんな勘違いをしていませんか?
- 年金を払いたくない政府の陰謀
- トータルでは損する可能性が高い
- 貰い始める年齢を先に決めないといけない
- 途中で予定を変更できない
- 途中で死亡してしまったら貰えない
これ全部勘違いですから…
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繰下げ受給:受給開始を遅らせて年金を増やす
繰り下げ受給は、受給開始年齢を遅らせることで年金額を増やすことができる制度です。
65歳時点で受給できる年金を基準とし、一ヶ月繰り下げるごとに0.7%ずつ年金額がアップしていきます。
65歳時で受給できる年金を15万円とすると
- 65歳0ヶ月:+0%(15万円)
- 67歳6ヶ月:+21%(18万1,500円)
- 72歳6ヶ月:+63%(24万4,500円)
- 75歳0ヶ月:+84%(27万6,000円)
注:75歳以降は+84%から増額なし
65歳の年金だけで生活は厳しい
65歳からの年金だけで生活費を賄える家庭は少ないでしょう。
しかし、繰下げで増えた年金額が生活費を上回ってから受給すれば、一生涯にわたり生活費を超えるお金が入金されますので老後は安泰と考えることができます。
これをWPP理論といい厚生労働省も推奨しています。
著者はWPP理論を発案された谷内陽一氏ご本人。野球のピッチャー継投に例えて分かりやすい解説↓↓↓
繰り下げ受給のここが心配
とはいえ年金の繰下げ受給に対してネガティブに考えている方も多いようです。
そこで冒頭に書いた良くある繰り下げ受給の勘違いを正していきましょう。
繰り下げは年金を払いたくない政府の陰謀だ!
政府の陰謀だとしても関係ありません。
繰り下げで増額される額は公表されているのですから、自分にとって最も合理的と思えるタイミングで年金を受給すれば良いだけです。
私たちの主目的は日本政府に損をさせることではなく、自分と家族の老後を安定させることなんですから。
繰り下げるとトータルで損する可能性が高い
ネット上や書籍では「〇歳でもらうのがコスパが良い」という情報があふれていますが、年金の目的は儲けることでは無く、老後の生活を安定させることです。
損得で受給年齢を決めるべきではありません。
受給するタイミングは『年金額が生活費を上回る年齢』です。
この辺りの解説は別記事でまとめているので↓↓↓を参考にして下さい。
最初に決めた受給年齢を変更できないのでは
繰り下げ受給は決めた年齢まで年金を受け取れない訳ではありません。
あくまで66歳から75歳までの好きな時期に受給を開始できる制度です。
たとえば当初75歳まで繰り下げると決めた後でも様々な選択肢があります。
現年齢から年金受給を開始する
年金の繰り下げ需給は何歳から受給を開始するかを申請するものでなく、受給開始の申請をしなければ、繰り下げとみなされるだけです。
当初の年金受給開始予定は自分が勝手に決めるだけですから、途中で老後プランが変わり年金受給の必要ができたら受給を開始する申請をするだけです。
過去に受給を開始していたとして一時金をもらう
病弱な方が「早く天国に旅立ってしまったら…」という悲しい悩みも分かります。
その場合も繰り下げを基本に計画をたて、冗談抜きで本当に長生きできないと感じたら、過去にさかのぼって『年金受給の申請をしていた』とし、一時金で受け取ることができます。
考えたくはありませんが余命宣告を受けてしまったケース等ですね。
❶:70歳までは『65歳で受給開始した』として一時金を受け取る
たとえば69歳0ヶ月で申請すれば65歳から年金を受給していたとして、65歳から69歳までの4年分の年金額を一括で受け取ることができます。
❷:70歳超は『5年前に受給開始した』として一時金を受け取る
- 71歳で申請すれば5年前の66歳から年金を受給していたとして、66歳で+8.4%された年金5年分を一括で受け取ることができます。
一時金:受け取り額の例(65歳の年金額が年100万円なら)
- ❶ 69歳:400万円(65歳の年金額×4年)
- ❷ 71歳:542万円(65歳の年金に+8.2%の額×5年)
注:一時金に対する税金は本来支給されるはずだった年それぞれで『雑所得』として課税されるため修正申告が必要です。
年金をもらう前に天国へ旅立ってしまったら
65歳以降で年金をもらわずに死亡してしまった場合、遺族が65歳時の年金額の最大5年分を未支給年金として受け取ることになります。
なお、年金の支払いは5年で時効と決まっているので、仮に74歳でも5年分です。
一時金のように繰り下げていた期間分の増額はありません。
未支給年金:受け取り額の例
- 69歳で死亡:65歳の年金額4年分
- 74歳で死亡:65歳の年金額5年分
生計を同じくしていた家族がもらえる
未支給年金をもらえるのは生計を同じくしていた家族ですが優先順位があります
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- その他1~6以外の3親等内の親族
(同順位の親族が複数いる場合は、代表者1名が申請)
年金と同様に申請をしなくては受給できませんので、自分が年金を繰り下げ中で受給していないことをあらかじめ家族に話しておいた方がよいでしょう。
まとめ
- 繰り下げ受給は66歳から75歳まで自由に受給開始時期を選べる
- 繰下げを途中で中止し、一時金を受け取る選択肢もある
- 繰下げ待機中に死亡した場合も、遺族は未支給年金を受け取れる
- 未支給年金は65歳時点の年金を最大5年分
年金の繰り下げ需給は老後の生活を安定させるために欠かせない制度です。
「よく分からない、どうも損らしい」で敬遠するのではなく、有効に活用して安定した老後生活を送って下さい。
お金を払ってプロに相談も
年金の繰り下げは生活状況や健康、将来の見通しによって最適な判断が大きく異なります。
本記事の情報を参考にしつつ、最終的にはお金を支払ってフィナンシャルプランナーなどのプロに相談し、自分と家族に最適な年金受給戦略を検討してください。
年金を貰い始めた後だと手遅れに!WPP理論を発案された谷内陽一氏ご本人が解説する老後突入前の必読書↓↓↓
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