人気の仕組債『株価連動型債券』は『逆宝くじ』です。
今回は、「なんか儲けられそうな気がする」事で有名な仕組債、『早期償還条項付・株価連動債券』なる金融商品にスポットを当ててみたいと思います。
有名証券会社のHPで大きな広告が表示されることが有るので、気になっている方も居られるでしょう。
結論から先に言うと『株価連動債券』への投資はおススメしません、それは、かなりの確率で、満期償還の利回りを受取ることが出来ないからです。
そればかりか、最終的に元本割れをくらう可能性が高いと言えるでしょう。
「目先の利回りに釣られてはいけませんよ」という、典型的な投資先ですので、投資初心者の方は熟読を、ベテランの皆さんは毎度おなじみのアルアルねたとしてお楽しみください。
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『株価連動債券』はハイリスク、ローリターン
『株価連動債券』とは参照する株価によって、満期時の償還額が変動する金融商品のことです。
決して、商品名になっている銘柄の株式に投資するわけではありません。
仮に、以下の様な仕組債が有ったとしましょう。
- 参照銘柄:マザーズ・コア上場投信 (1563)
- 利率:年利8%
- 利払い:3ヶ月毎
- 期間:1年
- ノックイン判定水準:当初価格の70%※1
- 早期償還判定水準:当初価格の105%※2
※1: 一度でも、この価格まで株価が下落すると、元本割れの可能性大。
※2:3ヶ月ごとの判定日に、この価格以上の株価だと、満期前に返金される。
この仕組債の最大利益は2の年利8%です。たとえ株価がプラス50%になっても、最大利益は8%です。
注:いったん下落した後、わずかな期間で急上昇する、奇跡的な値動きがあれば、8%以上儲かる可能性も0ではありませんが、考慮しません。
逆に株価が下落して、5のノックイン判定水準以下に、一度でもなってしまったら、返金額は『マザーズ・コア上場投信 (1563)』の株価を元に算出されるので、大きな損失を被ることになるでしょう。
債券に投資していたつもりが、途中から含み損の株式に変えられてしまう感じですw
参考銘柄は値動きが大きい銘柄が選ばれる
「なんで『マザーズ・コア上場投信 (1563)』で検証するの?無理やり悪い結果そうとしてるの?」と思われたかもしれませんが、仕組債の参照銘柄に選ばれるのは、そこそこ有名ではあるけども、超一流企業ではないという銘柄が多いです。
それを考えると、指数に連動しているETFの方が、個別銘柄のリスクが無い分、まだマシだと思いますよ。
一度でもノックインすると、通常運用には戻れない!
上の図は、仕組債の運用状況の変化ですが、一度でもノックイン状態になった時点で、満期償還されないことが確定してますね。
そうなると償還額は株価に連動しますので、元本の確保は絶望的と言って良いでしょう、ノックイン=当初株価の70%まで下落した訳ですからね。
最大利益は8%、最大損失は投資した全額という、割に合わない金融商品が株価連動債券なんですね。
早期償還はお得なの?
「早期償還されたところで、元本は返って来るし、利息も少し貰えからお得でしょ?」と思われるかもしれませんが、早期償還で返金されたお金をどうします?また、仕組債に投資するんじゃないですか?
例えば、100万円を投資した場合、僅か3ヶ月で2万円が儲かったんですよ。
(100万円×8%×3ヶ月÷12ヶ月=2万円)
早期償還は必ず利益が出た状態(元本と利息)で返金されてしまうんです。
失礼ながら仕組債を購入する人は投資にあまり詳しくない人ですから、一度得た成功体験は強烈です。
再び、短期間で簡単に利益を出すことが出来た仕組債を選んでしまうでしょう。
証券会社にとっては、何度も仕組債を買い続けてくれる、上客となってくれるのです。
『仕組債』は満期まで保有出来ないw
「でも、早期償還やノックインなんて、めったに起こらないでしょw」とお考えの方に、データを引っ張り出して計算してみました。
- データは2012年8月~2021年8月
- 3ヶ月を60営業日で計算しているので、あくまで参考数値
- 60営業日目の終値で早期償還を判定
- データ内の2,382期間で検証
例:2012年8月12日から1年間、8月13日から1年間・・・・・2021年8月26日から1年間までの2,382期間
4回に1回はノックイン(泣)
なんと、満期まで保有して利息を満額受け取れる確率は、たったの12%でしたw
因みにノックイン(投資開始日の70%まで下落)した確率の詳細は
- 1~3ヶ月:4.45%
- 3~6ヶ月:7.67%
- 6~9ヶ月:8.44%
- 9~12ヶ月:2.41%
- 合計:ノックイン確率・約23%
ほぼ、4回に1回はノックインをくらってしましたね。
何度も書きますが、ノックインは株価が70%下落した証明ですから、ノックイン=元本割れと考えて相違ないでしょう。
かなりの高確率で早期償還されてしまう
因みに早期償還の確率は
- 3ヶ月:45.76%
- 6ヶ月:13.30%
- 9ヶ月:6.31%
- 合計:早期償還確率・約65%
ほぼ、半分の確率で最初の3ヶ月で早期償還されていましたw
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まとめ:実は高リスクの『株価連動債券』はおススメしない
『株価連動債券』は高利回りの債券で、儲かりそうな感じがしますが、満期まで保有して、利息を満額受け取る可能性はかなり低いです。
ノックイン判定基準まで下落する可能性はさほど高くありませんが、早期償還の度に新しい仕組債を繰り返し買い続けていくと、いずれはノックインに遭遇してしまうでしょう。
そうなれば元本割れです。
仕組債は「殆んどの場合で小銭が手に入るけど、運が悪いと大損します」という『逆宝くじ』です。
もしもサイコロを振って『5以下で小銭を貰えるが、6だと大損する賭け』があったら、あなたは振りますか?
リスクは客、儲けは金融機関!これが仕組債です!www.katsurao.info
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