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【5000万円を4%ルールで取り崩せば生活できる?】トリニティスタディのよくある5つの勘違い

トリニティスタディ失敗アイキャッチ画像生活費の25年分を準備すれば4%ルールで仕事を辞められる。

こんな勘違いをしている方はいませんか?

実は有名なトリニティスタディの調査結果には「4%で取り崩せば資産を減らさずに生活できる」などとは書かれていません。

あくまで退職後の資金を長持ちさせるための調査の中で、4%が比較的良い結果だっただけです。

今回は多くの人が勘違いしている、トリニティスタディの4%ルールの注意ポイントを解説します。

安易な決断で生活を破綻させないため、ぜひ最後まで読んで下さい。

この記事で分かること

  • 5000万円で4%ルールでも200万円は手にできない
  • トリニティスタディは真似できない

資産5000万円の4%ルールで200万円は不可能

Xの投稿などでよくある5000万円でFIRE計画「生活費は200万円でなんとかなるはず」という楽観的なものがあります。

しかし、生活費として数十万円は銀行預金を残す必要がありますし、給料から天引きされていた住民税の支払いは前年の給料が基準ですから大きな負担になるでしょう。

さらに社会保険料も・・・

また、多くの方が4%ルールの参考にしているであろうトリニティスタディにしても、内容を勘違いしている方が少なくありません。

トリニティスタディの勘違い

勘違い❶:同じ投資配分を真似できない

5000万円で4%ルールを実行するためトリニティスタディと同じポートフォリオを組む計画の方がいらっしゃるかもしれません。

The Standard & Poor’s 500 index was used to represent stocks, and long-term, high-grade corporate bonds were used to represent bonds.

引用:トリニティスタディの原文

和訳:株式はS&P500指数、債券は長期・高格付け社債で検証した。

S&P500と債券を割合を維持しながら売却できますか?

始めの買付時にトリニティスタディの投資配分を真似できたとしても、それを維持することは不可能に近いのです。

勘違い❷:資産が1円でも残っていたら成功

トリニティスタディの調査は以下の様な内容です。

  • 検証期間:1926年から1995年のデータ
  • 投資配分:株式75%:債券25%など
  • 取り崩し率:年3%~12%
  • 取り崩し期間:15年~30年(5年単位)
  • 期間終了時に資産が残っていれば成功

画像参照:数値は成功ケース

画像参照:数値は成功ケースの確率 (出典:トリニティスタディ原文

この「資産が残っていたら成功」を勘違いしている方が多いですね。

トリニティスタディの原文には以下のように記載されています。

The portfolio success rate in the study is the percentage of all past payout periods supported by the portfolio (where the ending value exceeds $0).

引用:トリニティスタディの原文

和訳:この検証におけるポートフォリオの成功率とは、最終的な資産額が0ドルを超えるパーセンテージである。

最後の年に1円だけ残高が残っていても『成功』ですか?

さらにこの成功率が下がる理由が他にもあります。

勘違い❸:検証に税金・手数料は考慮されていない

The study did not adjust for taxes or transaction costs. 

引用:トリニティスタディの原文

和訳:この検証では、税金や取引コストの調整は行っていない。

税金や資産運用にかかる売買手数料や保有コストが考慮されていませんから、検証結果が100%成功だったとしても実際の結果はわかりません。

勘違い❹:取り崩し〇%は『初期』の資産額に対して

取り崩し額についても、多くの方が勘違いしている印象です。

毎年の資産額に対して〇%を取り崩しているわけではありません。

To counteract the effect of inflation, the dollar withdrawal in a given year must be increased by the inflation rate for that year. 

引用:トリニティスタディの原文

和訳:年間の取り崩し額は、初年度の引き出し率に基づき、初期ポートフォリオの資産額に対するパーセンテージで計算される。

取り崩し額は取り崩し時の資産額ではなく、資産運用開始時の資産額〇%です。

それなら簡単に真似できそうですが、トリニティスタディはインフレ率も考慮して取り崩し額を計算しているのです。

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勘違い❺:インフレ分だけ取り崩し額を増やしている

the annual dollar withdrawals are based on a first-year withdrawal rate that is a percentage of the initial portfolio value.

引用:トリニティスタディの原文

和訳:インフレの影響を打ち消すために、その年の取り崩しをインフレ率分だけ増やす必要がある。

このインフレが何%か分かるのは翌年以降ですよ。

トリニティスタディは真似しようとしても、簡単に真似できないのです。

まとめ:

残念ながらトリニティスタディの調査結果は数値よりも低いものになることが確実ですし、そのまま真似することもできません。
似たようなことはできるかもしれませんが、それでは検証結果の成功確率の意味が薄れてきます。
そもそもアメリカの研究を日本円で生活する日本人がそのまま利用して役に立つのかという根本的な問題があります。

トリニティスタディを知識として知っているのは素晴らしいことですが、これを軸にFIREや老後の生活プランを考えることは避けた方が賢明でしょう。

楽観的な生活プランは厳禁

そもそもトリニティスタディの成功データをじっくり検証しなくては生活を維持できないのなら資産が足りないのです。

投資配分など適当に決めても、余裕で生活できるくらいの資産が貯まるまで、労働で資産を増やす、老後はWPP理論をさんこうにするなど、方針転換が必要でしょう。

www.katsurao.info

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